私が「物流×IT」の業界に入ったのはインターネット人口普及率が13%を超えた1998年でした。当時は、今では当たり前となった「Eコマース」の言葉も無く、宅配と言えば、カタログ通販、中元歳暮、産地直送、取寄品が中心でした。またSCMサプライチェーンマネジメントも、まだ概念的な要素が多く、具体的な手法が確立されていない時代でした。
 それから27年経った今、物流業界は大きな転換期を迎えております。2025年4月に施行された「物流効率化法」により、これまで運送会社や物流会社が中心だった物流業界に加えて、「荷主」にも焦点があたり、規制が強化の流れから「物流効率化の取組みが努力義務」となりました。

 「2024年問題」に代表されるドライバー不足、物流コストの急激な上昇は、複数の要因が絡み合った非常に難しい社会課題です。一方、物流現場に眼を向けると、一部の現場では最先端のロボティクスが導入されているものの、そこは「どんぶり勘定」の文化が根強く残り、人への依存度が高く、可視化・見える化が遅れている世界です。従来のやり方や考え方では解決出来ないこれらの課題に対して、人間の意思決定を手助けする最新のITツール、人に替わって動く新しいジャンルのソフトウェアの力を借りながら、物流現場を変革出来ると確信しておりました。
 その想いを実現すべく、昨年7月に会社を立ち上げたものの、ソフトウェアの開発は難航し、当初の計画通りにロンチさせる事が出来ませんでした。それは、自身の力不足・実力の無さを痛感する事にもなりました。これまで自身が所属した大企業は、優秀なエンジニアが多く在籍し、ごく普通に当たり前と考えていた事が、世間の当たり前ではありませんでした。これまでどれだけ多くの方々に助けられながらプロジェクトを進めていたかと思うと、ちっぽけな自分を見つめ直す機会にもなりました。ゼロから全てを作り上げる大変さを身をもって感じた1年でした。
 幸いにも、物流・サプライチェーンのコンサルティング事業は順調に立ち上がりましたので、次の1年は飛躍の年にしたいと考えております。ご支援頂いております皆様方のご期待に応える事が出来るように、事業を成長させて参りたいと考えております。引き続き暖かい目でご支援とご指導を頂けますと嬉しいです。

 

2025年6月

株式会社テックロジ

代表取締役社長 豊田 正雄